受賞作品
第46回 日輝展受賞者一覧
日輝展は、感染症対策が実施される中、桜満開の東京都美術館で開催されました。 出品者 出品点数が減少したものの、役員や支部の方々のご協力もあり、小品を含め 素晴らしい作品が揃いました。上位7賞の作品と受賞作品の一覧ご紹介させていただきます。
文部科学大臣賞

「朝陽に生きる孤高のポプラ」 (アクリル)
本田 滋氏 (札幌)
「昨年の夏」と深夜に目覚め、北風厳しい石狩にそび え立つ一本のボブラを描きたくて車を走らせ、満月の月光 を頼りにキャンバスにラフスケッチをした。 後日また夜明 け前にそこに行ってみると、心が奮い立つような朝焼けが 広がり始め、今の私の心境と同じ様に孤独に思えていたポ ブラが、周りの大自然に励まされ、支えられて逞しく生き る姿を目前にした。」作者も思わず 「頑張れよ!」と励ま
されたような気がして、 無心に筆を走らせたという。こう して強さの中にも優しい色合いが幾重にも塗り重ねられ、 味わい深い見応えのある絵が出来上った。
日輝会大賞

「王維詩」(書)
齊藤春瑤氏(千葉)
中国 (唐)の時代に自然をうたった詩人としてとりわけ名が知られていた王維 の詩を漢字行草体で揮毫した作品。 詩文の意味は、 「紅く咲いた桃の花に宵越し の雨が残っている。
柳の緑は、もやに霞んで一段と趣深い。 花は散ったが家僮 (子供の召し使い) がまだ掃かないので地面がピンクに染まっている。 鶯がのど かに啼いているのに山村の人はまだ目が覚めない。」
作者の齊藤さんは、静かな山村の情景と紅と緑の対比が絵画のように鮮やかに 脳裏に浮かんできて、墨色や筆の緩急、 余白等を考慮し一気に集中して書いたと のこと。 素晴らしいの一言。
日輝会会長賞

奥田延子氏(東京)
「飾り盆梅に鶯」 (漆芸 )
作者の奥田さんが若い頃過ごした愛媛県松山の生家には 古い梅の木があり、ほころび始めた梅の木で歌うの声で 毎日目覚めた思い出もあり、今回の作品を制作したという。 下絵から彫り始め、姿の色付けには少し苦労したそうであ る。手の動きも次第に思うようにならず、今回が最後の出 品と決めていた折、 受賞の報が届き、身に余る光栄でした とのこと。これからも機会があれば、彼女の素晴らしい作 品達に出会いたいと切に願う。 お疲れさまでした。
日輝会賞

マダムローズ(4) (パステル)
土橋 佐喜子氏 (神奈川)
薔薇をこよなく愛し続け制作に励む土橋さん の作品は、ひときわ会場を明るく盛り上げてい た。 彼女の純真な想いが一輪一輪の薔薇の花や 業に通じ合い、新たな命が吹き込まれ、それぞ れに美しさを競い合って観る人をくぎ付けにし てしまう。パステルの色合いからも気品が溢れ、 力尽きて落ちた花や蕾から、貴婦人達の熾烈な ドラマさえ感じさせる。何とも魅力的な作品で ある。
三上賞

オンリーワン (油彩)
田玉 靖江氏 (千葉)
油絵を始めて5年目になる田玉さん。 今回は薔薇の絵に挑戦 である。 中央には細部まで丁寧に描き込まれた花瓶が置かれて いる。テーブルには花瓶に入りきらなかったのか薔薇の花が並 んでいる。 大胆でシンメトリーな構図から、 彼女の何事にも動 じない強さと信念を感じる。 薔薇を一輪描く毎に 「貴方がオン リーワンよ!」と思いながら描き進めたという。 バックも悩みな がら何度も塗り直したかいもあって、 気持ちのいい空間の中で 個性豊かな花たちが嬉しそうに咲き誇る華麗な作品になった。
利尻富士町長賞

銀杏並木道(日本画)
西野紀雄氏(札幌)
昨年の秋。 北海道大学病院の側を散歩中、 真黄色に色付 く銀杏並木に感銘し描いた一枚。 頭上いっぱいに広がる銀 杏は、会場でもひと際目を引く鮮やかさで、道路や木々に 落とす陽の光の表現から暖かさが伝わり、巧みな遠近法で 描かれた絵の中に思わず引き込まれていく。 銀杏を指差し 見上げる人が居たり、 青空が銀杏の隙間からもっと広がる ようにするとさらに秋らしさが感じられよう。
芸術新聞社賞

アイコニックコンポジション (ミクストメディア)
金森昭憲氏 (千葉)
現代社会に於いて私達の生活空間には多くの人工的な輝 き (発色)が存在する。 それは自然光 (太陽光) ではなく、
都会に溢れるネオンサインやイルミネーション等、 視界に 飛び込むルミナンスカラー(発光色)。 これらの輝きを再 構成し、個人の感動を中心に社会情勢も含めて、 ジャンル や世代を越え絵画の見え方を追求する作者。 境界線を挟み キーウと露の戦に見えるのは私だけであろうか。
令和4年開催の46回展の受賞者は以下のとおりです。
賞 名 | 部 門 | 受賞者名 | 支 部 |
---|---|---|---|
文部科学大臣賞 | アクリル | 本田 滋 | 札幌 |
日輝会大賞 | 書 | 齋藤 春瑤 | 千葉 |
日輝会会長賞 | 漆芸 | 奥田 延子 | 東京 |
日輝会賞 | パステル | 土橋 佐喜子 | 神奈川 |
三上賞 | 油絵 | 田玉 靖江 | 千葉 |
利尻富士町長賞 | 日本画 | 西野 紀雄 | 札幌 |
藝術新聞社賞 | アクリル | 金森 昭憲 | 千葉 |
グランプリ | 象嵌 | 李 寿笑 | 千葉 |
優秀賞 | キルト | 小山 典子 | 東京 |
優秀賞 | 書 | 石井 悠太郎 | 一般 |
優秀賞 | 油彩 | 大野 憲三 | 千葉 |
優秀賞 | 油彩 | 和泉 陽子 | 札幌 |
秀作賞 | ミクストメディア | 国分 一彦 | 千葉 |
秀作賞 | コラージュ | 大橋 元紀 | 東京 |
秀作賞 | 押し花絵 | 巻本 ヒロ子 | 福岡 |
秀作賞 | 水墨画 | 内山 郁子 | 東京 |
特選 | 水彩 | 松澤 忠男 | 埼玉 |
特選 | 油彩 | 関口 清作 | 一般 |
特選 | 写真 | 河原塚 貴美代 | 埼玉 |
奨励賞 | ペン画 | 木村 沙希 | 東京 |
奨励賞 | 切り絵 | 日根 敬三 | 神奈川 |
奨励賞 | 書 | 糸洲 襄 | 東京 |
奨励賞 | パステル | 三上 公子 | 東京 |
奨励賞 | 写真 | 小紫 陽子 | 一般 |
奨励賞 | EB-ART | 小澤 研二 | 初出品 |
新人賞 | 日本画 | 谷 直子 | 初出品 |
新人賞 | 書 | 鈴木 初子 | 初出品 |
新人賞 | 油彩 | 岡田 靖子 | 初出品 |
新人賞 | 油彩 | 木下 哲郎 | 初出品 |
新人賞 | 水彩 | 大島 照代 | 初出品 |
ホルベイン賞 | 水墨画 | 平野 茂華 | 岩手 |
クサカベ賞 | EB-ART | 黒岩 優子 | 東京 |
クサカベ賞 | 油彩 | 田中 秀幸 | 千葉 |
彩美堂賞 | 水彩 | 阪本 俊光 | 東京 |
彩美堂賞 | 写真 | 本忠 實 | 千葉 |
東美賞 | 水墨画 | 牧野 稜翅 | 神奈川 |